『翼のない天使』という作品について
夢をあきらめられない主人公を描こうと思いました
主人公は最初から死ぬ気はありません。仕事を失い、女の子にフラれて死を決意するような人間なら、そもそも夢を早くにあきらめて定職について結婚しているからです
仕事を失っても恋愛に失敗しても、それでも夢をあきらめられない、そんなまっすぐな人物を描くために童貞という設定にしています
純粋に子どものように夢を追いかけているという意味で「大人になりきれていない」と いうメッセージが童貞という設定に結びついています
ただ惰性で日々を生きているのではなく、夢に向かってまっすぐに進んでいるから恋人や友人が主人公の周りに集まってきています
だれしも子どものころに描いた無邪気な夢を主人公は持ち続けているんです。主人公の周りの人物はすべて大人として描かれているので、そんな主人公を見限ってしまい 別れを切り出したりしますが、主人公と肉体関係を結ぼうとはしません
この作品では肉体関係を持つ=現実主義として表現をしています つまり夢を取るか肉体的快楽=夢を捨てて現実的に生きていくかを主人公に選ばせています
主人公が童貞のままなのは夢をあきらめきれない子どもだからであり、いったん現実的に生きていくことを選んだ「大人」は再び子どものような純粋な夢を見ることはできません
作品の中では主人公の夢を「俳優」と表現していますが、なかなか夢が実現しない原因として「ハゲ」というキーワードを使っています
「ハゲ」という身体的特徴をあえて使用することで夢への実現が困難になるように設定しています
身体的特徴で不利であっても夢をあきらめないという力強さを主人公に持たせたかったからです
ほとんどの場合、才能に恵まれて、運に恵まれなければ子どものころの夢を叶えるのは難しいでしょう
それでもあきらめきれずにがんばりつづけるという前向きなメッセージを、この作品から汲み取ってもらえたらうれしいです
あきらめなければ夢が叶うというありふれたメッセージではなく、夢が叶わなくても人をひきつける魅力のある人間になれるというメッセージです
子どものように純粋でまっすぐな主人公と、それにひきつけられる人々というのがこの 映画の主軸です
題名の『翼のない天使』については主人公に希望を持たせるためにつけました。だれかがそっと見守っていてくれているという意味です(人間の姿をした天使ということです)
見た目にはわからなくてもきっとだれかが主人公の純粋さを見守っていてくれているという期待感を持たせました M・ナイト・シャマラン監督の初長編映画の邦題と同じなのは、きっとただの偶然です
『翼のない天使』
第五稿
作・和田昌俊
登場人物 8人オールメインキャスト
全員に顔のアップあり
メインキャスト(登場順)
渡辺 大和(わたなべ やまと) 中年童貞 無職 ハゲデブ [衣装]私服
鈴木 沙羅(すずき さら) 美人女性 [衣装]私服
高橋 亜希(たかはし あき) 美人女性 [衣装]私服
佐藤 達也(さとう たつや) イケメン 職場の上司 [衣装]スーツ
田中 里香(たなか りか) 美人女性 正社員 [衣装]スーツor私服
伊藤 葵(いとう あおい) イケメン 主人公の友人 [衣装]私服
秋山 美穂(あきやま みほ) 美人女性 人妻 DV 夫から逃げる [衣装]私服
橋本那波(はしもと ななみ)美人女性 スキンヘッド好き[衣装]私服
※本作において身体的接触はありません。 セリフの一部に若干セクシュアルな単語あり。 肌の露出はありません。暴力的表現はありません。
喫煙・飲酒シーンはありません※
【シーン 1】渡辺の部屋
机の上には薬と酒のビンとグラス 他には紙と封筒、キーホルダーが置かれている
元気のない様子の渡辺
机の上のキーホルダーをぼんやり見る
キーホルダーには SARA と彫られている
SARA の文字がアップになる
【シーン 2】(回想シーン)渡辺の部屋
鈴木沙羅の顔のアップ
鈴木「ごめん、別れよう」
渡辺の顔のアップ
渡辺「えっどうして?」
渡辺の部屋で渡辺と鈴木沙羅が座っている
渡辺の頭をジーッと見つめる鈴木沙羅
渡辺の頭のアップ
鈴木「いや言わないほうがいいと思う」
渡辺「いやいや言ってくんなきゃわかんないじゃん」
鈴木「だから別れるって言ってんじゃん」
渡辺「いやだから理由を言ってくれって」
鈴木「はあ、じゃあ言うけどさ、仕事もバイトで不安定だし、俳優っていっても全然有名 になんないしさ、おまけにハゲだし・・・だから別れよ、これ返すね(アパートの鍵とキー ホルダー)」
渡辺「いやいや、ちょっと待ってよ、おれもうすぐビッグな男になるからさ、いま別れる のはもったいないって」
鈴木「もうそういうの聞き飽きたの、他に好きな人もできたし」
渡辺「えっだれだれ、俺の知ってる人?もしかして前に言ってたあのバイト先のイケメン?」
鈴木「あなたにはもう関係ないでしょ、その人と付き合うことにしたから、もう連絡して こないでね」
渡辺「いやちょっと待ってよ、せめて最後に一回だけでもエッチさせて」
鈴木「そういうとこだよ」
渡辺「えっ?」
鈴木「なんか歳上なのに余裕なくって、やることばっか考えててさ」
渡辺「ちょっと待ってよ、別れるんなら思い出作りに一回だけでも」
鈴木「じゃあね童貞くん」
渡辺「あっ待ってせめてチューだけでも」
鈴木「無理、鏡に向かって自分でやってれば」
バタン(と扉の閉まる音) あきらめたように机の上の鏡に向かって唇を突き出す渡辺
【シーン 3】渡辺の部屋
SARA と彫られたキーホルダーを握りしめてひっくり返す渡辺
目線をうつすと、別のキーホルダー
AKI と彫られている
AKI と彫られたキーホルダーを見つめる
【シーン 4】(回想シーン)渡辺の部屋
渡辺と高橋亜希が座っている
高橋亜希のアップ
高橋「あのさ・・・」
渡辺(OFF)「なに?」
高橋の顔のアップここまで
高橋「別れよ」
渡辺のアップ
渡辺「えっなに?えっ?」
高橋「だからさ、別れよ」
渡辺「ちょ、ちょ待って待ってなんでよ」
高橋「なんか飽きちゃった」
渡辺「えっおれに飽きたってこと?」
高橋「うん」
渡辺「えっ他に好きな人ができたとかじゃなくて?」
高橋「えっと、なんだろうなそもそも、あなたのこと好きじゃなかったみたい」
渡辺「えっ?好きじゃなかったの?一緒に暮らしてたのに?」
高橋「うん、ただなんとなく一緒にいただけ」
渡辺「ええっなんだよそれ」
高橋「やっぱりさ、ハゲてる人は男として見れないっていうかさ」
渡辺「えっ?髪型のせい?」
高橋「うーん、それだけじゃないんだけど、なんかいい歳してバイトで生計立ててるとことか、いまだに夢を追っかけてるところとかさ、なんか現実見ろよって冷めてきちゃっ た」
渡辺「なにそれ?」
高橋「わたしこういう女だからさ、実はちょっと前から他に付き合ってる人いるんだよね」
渡辺「ええっなにそれなにそれきいてないよ」
高橋「うん、だって言ってないもん」
渡辺「あ、あのさ、ききたいんだけど、そいつとはもうやったの?」
高橋「なにを?」
渡辺「だからさ・・・エッチ」
高橋「したよ、当然でしょ付き合ってるんだもん」
渡辺「えっおれとはまだ一度もしてないよね」
高橋「だって付き合ってないし」
渡辺「えっ一緒に住んでるのに?」
高橋「うん、ただ一緒に住んでただけ」
渡辺「そんな・・・」
高橋「じゃあもう行くね、これ返す(キーホルダーつきの鍵)」
渡辺「いや、待ってよ、せめて最後にエッチさせてよ」
高橋「やだ、付き合ってる人としかエッチしないから、その顔キモいんだけど」
渡辺「いや、せめてさチューだけでもしようよ、今までずっと家賃も生活費もおれが出してたんだしさ、ちょっとくらいお返ししてくれても」
高橋「はあ?何言ってんの?一緒に住もうよって言ったのそっちだよね?」
渡辺「う、うん」
高橋「お金の心配はしなくていいからって言ったじゃん」
渡辺「うん、言った言った」
高橋「なのに別れるってなったらエッチしようとかチューしようとか言い出してさ、そうい うふうに見てたんだ?カラダが目的で優しくしてくれてたんだ?」
渡辺「いや、あのそういうわけじゃないんだけど、仮にも俺たち付き合ってたんでし ょ?だったらせめてチューくらい」
高橋「だからそういうのは私の気持ちのペースに合わせてゆっくりでいいよって言って たじゃん」
渡辺「うん」
高橋「なのに別れるっていう今になって言い出すの?」
渡辺「いや、だって付き合ってるっていうそいつとはもうエッチしたって言ったじゃん」
高橋「その人は特別なの」
渡辺「ええ〜なにそれ」
高橋「キモいんだよ、ハゲの童貞のくせに、そんなんだからきっと一生童貞だね(と言 ってバタンと扉がしまる)」
【シーン 5】渡辺の部屋
AKI と書かれたキーホルダーを握りしめてうつむく渡辺
目線をうつすとぼんやりと机の上の紙を見ている
解雇通知という紙をアップする
【シーン 6】(回想シーン)会議室
解雇通知の紙のアップ
スーツ姿の佐藤と私服の渡辺
解雇通知の紙を机の上から滑らせるように渡す佐藤
渡辺の顔のアップ
渡辺「クビですか?」
佐藤の顔のアップ
佐藤「まあ、そのなんというか契約の早期終了ということですね」
渡辺「理由ってなんですか?」
佐藤「やっぱりさ、渡辺さん突然休むこと多いじゃない」
渡辺「それは、あの撮影が急に入ったりして・・・」
佐藤「うん、まあ俳優のほうがんばってるのは知ってるけどさ、こっちも遊びじゃないか ら、これビジネスだから」
渡辺「はあ」
佐藤「できるかぎりシフトは融通をきかせてきたつもりだよ、でも前日の夜に急に撮影 で来られませんって、それじゃこっちも困っちゃうんだよね」
渡辺「いや、あのエキストラはそんな扱いなんで、現場の状況次第で撮影が入ったり 入らなかったりするんで・・・」
佐藤「うん、だからさそっちの俳優のほうに集中したらいいじゃない」
渡辺「いや、でも全然まだ食べていけるようなギャラもらってないんで、バイトしないと生活が・・・」
佐藤「じゃあ俳優やめて、こっちのバイトに専念する?レギュラーシフトで土日含めて 入ってくれるなら契約見直してもいいけど」
渡辺「いや。固定シフトはちょっと・・・」
佐藤「あのさあ、ぼくも自分より歳上の渡辺さんにこんなこと言いたくないんだけどさ、もうちょっと人生考えたほうがいいんじゃないかな」
渡辺「はあ・・・」
佐藤「もういい歳でしょ?結婚とかさ、子どもとかさ、他の人はみんな夢とか追いかけ てないで現実を生きてるんだよ」
渡辺「でも、まだ夢を諦めたくないっていうか・・・」
佐藤「じゃあこれが現実ね(解雇通知の紙をバンと叩きながら)今日で最後の勤務だ から名札とか返却して、ロッカーの私物は全部持ち帰ってください」
渡辺「・・・はい、お世話になりました」
【シーン 7】渡辺の部屋
机の上の解雇通知の紙をぐしゃぐしゃにして投げつける渡辺
目線をうつすと RIKA と書かれたキーホルダー
【シーン 8】(回想シーン)渡辺の部屋
渡辺と田中里香が座っている
田中里香の顔のアップ
田中「あの、別れましょう」
渡辺の顔のアップ
渡辺「えっ」
田中「私たち、別々に暮らしたほうがいいと思う」
渡辺「えっえっなんだよきゅうに」
田中「バイトと正社員ってだけでも気まずい思いをしてたんだけど、いまバイトもクビになって無職なんでしょ、それなのに就職活動しないで映画を作るなんて話をするんだ もん、もう付き合ってらんないよ」
渡辺「いや、就活はしてるよ、でもさ、おれが本当にやりたいのは映画なんだよ。俳優 としてビッグになりたいんだよ」
田中「私、親に紹介できない人と付き合ってる余裕ないの」
渡辺「いやいや、紹介してよ、ずっと紹介してくれっておれ頼んでんじゃん」
田中「無職の男を紹介できるわけないじゃん、もっとちゃんと考えてよ」
渡辺「・・・愛があれば結婚できるよ」
田中「愛だけじゃ生活できないの」
渡辺「じゃあせめて・・・」
田中「なに?」
渡辺「結婚するまでダメって言ってたけどさ、せめて最後にエッチさせてくれよ」
田中「なに考えてんの?」
渡辺「いや、別れるならせめて思い出作りにって」
田中「もう無理、この際だから言うけど、ハゲで無職の男とエッチしたい女なんていないから、これ返すね(キーホルダーつきの鍵)」
渡辺「あ、あのじゃあ最後にお別れのチューは?」
田中「無理、もういくね。職場の同僚とご飯食べる約束してるから」
渡辺「えっあの、もしかして俺にクビを言い渡したあいつ?」
田中「あなたには関係ないでしょ」
渡辺「あっ待ってくれよ、今月分の家賃、置いてってくれないか?」
田中「そういうとこだよ」
渡辺「えっ?」
田中「大事なところでカッコつけられないから童貞なんだよ」
バタン
【シーン 9】渡辺の部屋
机の上の督促状(連帯保証人)の紙をぐしゃぐしゃにして投げつける渡辺
【シーン 10】渡辺の部屋
秋山「ね、別れましょう」
渡辺「えっ、突然なんで?」
秋山「ダンナがさ、戻ってこいって言うから」
渡辺「えっ?あのギャンブル中毒で DV しまくる元旦那さん?」
秋山「そう。てかまだ正式には離婚してないし。旦那の借金、肩代わりしてくれてあり がとね」
渡辺「ああ、うん。でも大丈夫なの?戻ったらまた借金して暴力振るわれるんじゃない かなあ?」
秋山「いいの。彼ももう一度やり直したいって言ってるから」
渡辺「あっ、そうなんだ」
秋山「かくまってくれて、ありがとね。なにもお礼できなくてゴメン」
渡辺「あっ、じゃあさ」
秋山「なに?」
渡辺「旦那さんのところ戻る前に、一度でいいから、その、エッチさせて」
秋山「キスならいいよ」
渡辺「ほんと?」
唇を尖らせる渡辺
突然ビンタをくらう
秋山「やっぱ無理」
ほっぺたをおさえながら唖然とする渡辺
秋山「結局、あなたも身体が目当てでかくまってくれてたんだね」
渡辺「いや、そういうわけじゃないけど」
秋山「バイバイ」
渡辺「あっ、待って、おれが肩代わりしたお金って・・・」
バタン
【シーン11】渡辺の部屋
黒いネットのようなものを広げてため息をつく渡辺
【シーン12】渡辺の部屋
橋本「別れましょう」
渡辺「えっ、なんで?」
橋本「わたし、じつはスキンヘッドの男の人がすっごく好きなの。だからやっぱりあなたとは付き合えない」
渡辺「えっそうだったの?おれさ、じつはスキンヘッドなんだ」
橋本「え?」
渡辺「ほら」
カツラを外す渡辺
橋本「ちがう」
渡辺「え?」
橋本「スキンヘッドじゃない」
渡辺「いやスキンヘッドだよ、ほら」
橋本「あなたのはただのハゲ」
渡辺「え?」
橋本「ごめん、それに、ウソをつく人って無理」
渡辺「ウソなんかついてないよ」
橋本はカツラを手に取り
橋本「カツラのことだまってたじゃん」
渡辺「いや、あの、べつに隠すつもりじゃなかったんだけど」
橋本「たとえハゲてても堂々としてるような人がタイプなの。あなたはウソつきのただのハゲ」
渡辺「そんな・・・」
橋本「じゃあもういくね。バイバイ」
立ち上がってカメラ前までくる橋本
橋本「世の中にはスキンヘッドが好きな女もいるってこと、忘れないでね」
渡辺「あっ待ってくれよ、そのカツラ置いてってくれないか?」
バタン
【シーン 13】渡辺の部屋
キーホルダーを 3 個とも握りしめてため息をつく渡辺
なにかを決めたようにキーホルダーを掴んだ手を放す
渡辺が死のうとコップにウィスキーをつぎ、薬(睡眠薬とかの錠剤)を飲もうとした瞬 間、ドアの鍵が開く音がして誰かが入ってくる
伊藤「疲れた〜酒飲みて〜」
と言いながら手にはキーホルダー付きの鍵を持っている
渡辺「あれ?伊藤くん、今日はデートだったんじゃなかったの?」
伊藤「ん?いや相手がすっげえブスだったからお茶だけで帰ってきた。写真加工しすぎで詐欺だろあれ」
渡辺「そうだったんだ」
伊藤「そのあと帰りに OL2 人組に逆ナンされちゃってさ・・・っておいそれ酒か?てか なんだよこの薬」
渡辺「いやあの、眠れないからさ、睡眠薬をちょっとだけ飲もうかなって」
伊藤「酒と睡眠薬こんないっぺんに飲んだらダメだろ、死んじゃうぞ。まさか死ぬ気だ ったんじゃ・・・」
渡辺「いやほんのジョークだよジョーク。伊藤くんを驚かそうと思ってさ、帰ってきたら ルームシェアしてるやつが自殺してたってなったらどんな反応するかなあっていう、も ちろん死んだフリなんだけどさ」
伊藤「いや全然笑えねえし、自殺するんならせめて家賃払ってからにしろって思うわ、 先月からおれがずっと払ってんじゃん、名義そっちなのにさ」
渡辺「いや、まあそれはほんとに助かってるっていうか・・・」
伊藤「まあキレイ好きで掃除してくれてるし、ここわりと居心地いいからなあ」
渡辺「まあね」
伊藤「結婚しろとか口うるさく言われないだけ、女と住むよりいいかもしれないなあ」
渡辺「はは、うんうん」
伊藤「ん?なんだこれ?遺書?」
渡辺「いや、なんでもないなんでもない」
伊藤「どうせジョークだったんだろ、いいじゃん」
渡辺「いやそれは本当の気持ちっていうか、酔っ払って書いたからあんま覚えてないし」
伊藤「えっ本当に死ぬ気だったの?まさか」
渡辺「いやジョークだよジョーク」
伊藤「じゃあ読んでもいいよな」
渡辺「いや、ちょっと待って」
伊藤「えーっと、童貞のまま死ぬなんてくやしい。沙羅ちゃんにフラれて、亜希ちゃん にもフラれてバイト先の里香さんにもフラれて、もうぼくの人生は終わった、生まれ変 わったらカミのある世界にいきたい。えっ生まれ変わって神様になりたいってこと?異 世界に転生したいの?」
渡辺「いや、あの神様じゃなくて、髪なんだけど(頭を触る)」
伊藤の顔のアップ
伊藤「いいか、よくきけ、男の魅力は見た目じゃない」
渡辺の顔のアップ
渡辺「えっう、うん」
伊藤「男の魅力は心、中身だ」
渡辺「うん」
伊藤「オレはモテるって 10 回言うんだ」
渡辺「えっ?」
伊藤「いいから、目を閉じてオレはモテるって 10 回言うんだよ」
渡辺「わかった、オレはモテるオレはモテるオレはモテる・・・」
(伊藤葵はその間に部屋の奥に移動している)
渡辺「・・・オレはモテる。おおなんか自信がついてきたよ。ありがとうって、えっいな い、あれ?あっその引き出しは開けちゃダメって言っといたのに」
伊藤「すげーマニアックなのが好きなんだなあ」
渡辺「やめてー!」
暗転してタイトル、その間もセリフは流れている
伊藤(OFF)「えーっと、『昼下がりの主婦と童貞』『童貞を買ったお姉さん 2』」
スタッフロール開始
伊藤(OFF)「『童貞ハンターと女王様』『ぼくの童貞をもらってください』」
渡辺(OFF)「いや、やめてほんとにやめて、もうその辺で、その辺にして、もうそれ台本に書いてないから。ね、ほら、もう映画終わっちゃったし」
伊藤(OFF)「『舐めまわす童貞 24 時』『七人の童貞とギャル集団』『狙われた童貞、女教師と夏休み』」
スタッフロール終了
暗転して THE END の文字
渡辺(OFF)「はあ、もう・・・・死んじゃおっかな」
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劇団ぎょう座 メール
短編映画『翼のない天使』 劇団ぎょう座【第14作】(字幕入り)
ありがとうございます。とても深い洞察ですごいと思いました
まさにその通りです
主人公はたくさんの女性と別れを経験していますが、それは同時にたくさんの女性をひきつけることに成功している証拠でもあります
実際に鑑賞している人もまた「翼のない天使」であり、この作品は「翼のない天使」である鑑賞者によって完成しています
ここまで深く考えて観ていただきとても嬉しいです
じつはこの『翼のない天使』は1番最初にかきあげた脚本です
そして登場人物が多いことから、キャストを集めることが難しくてなかなか撮影開始できずに一度は完成をあきらめかけました
ずっと完成させたいと思っていた作品なのでとても思い入れがあり、この作品を気に入っていただけてさらに深い洞察をして理解してもらえたことがとても嬉しいです
すでに7本の映画を見ましたが、このビデオが一番好きでした! 特に、「the person I'm actually talking to is so ugly that I just had tea and came back」という部分は、字幕翻訳がとても面白く、とても日本的でした。wwwww
童貞、処女性、脱毛、多くの(美しく才能のある女の子に)振られたことなど、多くのことについてあなたの考えを共有してくれてありがとうございます。しかし、それは主人公が女の子を引きつけることができたことを示しています!
実は、このビデオが一番好きな理由は、どのように終わったかです。映画は多くの日本のJAVのタイトルで終わり、多くの視聴者は俳優が失敗者だと思うかもしれません。
しかし、視聴者は「今」、実際には性的な参照を含む何らかのコメディーを観ているのではないでしょうか...。w
そして、その場合、主人公は成功しています(そうでなければ視聴者は彼の制作を観ていないでしょう?)
だから、私の解釈では、「翼のない天使」は実際には...観客たちです。w