『愛の従順』という作品について
犬猫殺処分という社会問題とコミュニケーションについてがテーマです
カワイイという理由で飼い始めても飽きてしまう飼い主がいます
犬猫は人間と同じ言葉は話せないためお互いにコミュニケーションがうまくとれません
もしも人間のように話せたらこうなるという一種のシミュレーションをこの作品では行っています
人間の見た目と言葉であればどれだけ身勝手で残酷なことをしているかがストレートに伝わりますが、見た目が違っているとわかりづらくなります
とくに言葉の違いは大きく、相互コミュニケーションがとれない場合に人は一方的に残酷になってしまうということをこの作品では描いています(犬猫に限らず異文化間や異国間でも同様です)
失われる命が救われて、相手を思いやる気持ちを持つ人が増えることを願ってこの脚本を書きました
『愛の従順』 第一稿
作・和田昌俊
ムギ
人懐っこい性格。リンのことが大好きでなんでも受け入れる。なにか責められると自分が悪いんだと思い込む
山口凛(ヤマグチ リン)
寂しがり屋の女性。独占欲が強い。ムギに夢中だったが飽きてしまい、ソラと付き合う。しかしソラにフラれてからムギに八つ当たりする
松本蒼(マツモト ソラ)
リンの新しい彼氏。リンのことはセフレとしか思っていない。100人斬り達成が目標のヤリチン男。リンの家に来てSEXしたあとは音信不通になる(ベッドシーンはありません)
※本作において身体的接触少しあります(じゃれあう。頭をなでる)セリフにセクシュアルな表現若干あります。肌の露出はありません。暴力的表現あります(殴る・蹴る)喫煙・飲酒シーンはありません
【シーン1 リンの部屋】
ムギとリンがじゃれあっている
ムギ「大好きー大好きー」
リンがムギの頭をなでる
リン「ムギはかわいいなあ。わたしだけのものだよ」
リンが首輪を取り出してムギに見せる
興奮した様子のムギ
ムギ「なにそれ?なにそれ?」
リン「これでわたしのもの。絶対外しちゃダメだからね」
ムギに首輪をつけるリン
ムギ「わーい、わーい」
うれしそうなムギの頭をまたなでるリン
リン「よく似合ってるよ。カワイイ私だけのムギ」
【シーン2 屋外の道路】
首輪をつけて散歩するムギとリン
ムギはうれしそうな表情
リンはスマホをいじっている
【シーン3 リンの部屋】
リンはムギに飽きたのか、スマホをずっといじったまま無視をする
お腹が空いた様子のムギ
ムギ「お腹すいたよー、ねぇねぇ」
リン「・・・」
ムギ「ごはん食べよーよ、一緒になにか食べよーってば」
リン「・・・」
ムギ「なにか悪いことしちゃった?ねえ、怒らせることしちゃったなら謝るからさあ。一緒になにか食べよーよ」
ムギはずっと話しかけるがウザそうな様子のリン
【シーン4 リンの部屋】
リンはソラを連れ込んでイチャつく
ムギはソラを見て不安そうに言う
ムギ「だれ?その人だれ?ねえねえ」
ソラはウザそうにしながら
ソラ「こいつ、おまえのこと大好きなんだな」
リン「いいから、私だけを見て」
ソラ「なんならコイツも混ぜてやるか?見せつけてやろうぜ」
リン「なに言ってんの?もういいからこっち来て」
リンはソラの手を引きながら隣の部屋に行こうとする
ムギはついていこうとするがリンに蹴られる
リン「ついてくんな、ここにいろ」
ムギは寂しそうにリンとソラの入っていった部屋を見つめる
【シーン5 リンの部屋】
リンとソラはケンカしている
怯えたように見ているムギ
リン「待ってよ、わたしのこと本気じゃなかったの?」
ソラ「本気だって。また連絡するから」
気のない返事のソラにリンがすがる
リン「ねえ、わたし飲んでないから赤ちゃんできちゃったかもしれないじゃん」
ソラ「大丈夫、大丈夫。そんときはそんとき。また連絡するから」
ソラは出て行ってしまう
悲しそうなリンはムギを振り向く
目が合ってうれしそうなムギ
ムギ「一緒にご飯食べよーよ、ね」
リンはムギを蹴っ飛ばしたり殴ったりしてしまう
リン「わたしのこと愛してるとか言ったくせに」
ムギ「いたっいたいよっ」
リン「ただヤりたかっただけかよ。結婚するっていったくせに」
ムギ「いったいどうしたの?ごめんね、ごめんなさい」
またスマホをずっといじるリン
【シーン6 リンの部屋】
ムギが目覚めるとリンはどこにもいない
寂しそうなムギ
ムギ「どこ行っちゃったの?寂しいよ一人ぼっちはヤダよ」
ずっと待ち続けるムギ
ムギ「お腹すいたなあ」
【シーン7 リンの部屋】
唐突に帰ってきたリン
ムギ「おかえりっ、一緒にご飯食べよ」
リン「うわ、臭いなあおまえ。まいっか、ほら、行くよ」
リンはムギの首輪を取るとそのまま部屋の外に連れ出す
ムギ「外行くの?久しぶりだね」
【シーン8 屋外の道路】
久しぶりの外で嬉しそうにしているムギ
リンは相変わらずスマホをいじっている
ムギ「楽しいね。一緒に外を歩けるだけで幸せ」
リン「・・・」
ムギ「お腹すいたからなにか食べよーよ」
リン「・・・うるさいなあ。だまって歩けよ」
公園にくると、首輪を電柱に繋ぐリン
リン「じゃあね」
ムギ「どこ行くの?ねえ、待ってよ」
リンはこたえずにスマホをいじりながら立ち去る
リンのほうを見つめながらずっと待ち続けるムギ
ムギ「なんで?どうして?あんなに好きって言ってくれたのに」
やがて元気がなくなり倒れて死んだように目を閉じるムギ
[保健所にくる犬猫の8割は所有者がわかりません]
[保護されたとしても、年間 約38000頭の犬猫の命が殺処分されています]
暗転
タイトル
無断転載・無断使用禁止
この脚本を使用する場合、必ずご一報ください
ご連絡はTwitterのDMまたは「劇団ぎょう座」のメールまでどうぞ
和田昌俊 Twitter
劇団ぎょう座 メール
短編映画『愛の従順』 劇団ぎょう座【第19作】(字幕入り)
Comments