『これからのぼくら』という作品について
他者の幸福とエゴイズムがテーマです
だれかに幸せになってほしいと願った時、その幸せが自分に関係するできごとだった場合に果たしてどこまで許容できるのかという問題があります
人はだれかの幸福を願う時、無意識下で自分の世界と境界線をひいているように思います
自分と関係のない世界での幸福を望んでいます
エゴイズムから生じる自分とは無関係の世界での幸福
それが一種の無関心となり、人は争いごとが起きても本当の意味で平和について考えることができないんだと思います
他者の幸福について考える時、エゴイズムと天秤にかけていないかを考え、本当に相手の幸せについてもっと深く考えることができるよう願ってこの脚本を書きました
これからのぼくら
妹の引っ越しを手伝いにきた兄が彼氏を紹介する
山崎 優斗(やまざき ゆうと)
妹の引っ越しの手伝いをしにきた優しい兄。両親にはまだカミングアウトしていない。
山崎 柚月(やまざき ゆづき)
奨学金を勝ち取り両親から一人暮らしを認められた画学生。兄のセクシャリティについては知っている
MASA(まさ)
女装アイドル
優斗「おい、寝てんじゃねえよ」
柚月「うーん、だってなんか疲れちゃった」
優斗「引っ越しの荷物運ばないと」
柚月「興奮して昨日あんま眠れなかったんだもん」
優斗「ウソつけ」
柚月「ほんとだよ」
優斗「こっそり泣いてたの、おれ知ってるぞ」
柚月「泣いてなんかないし」
優斗「・・・親父もおふくろも心配してた」
柚月「過保護だよね〜あの人たち」
優斗「おまえはすごいよ。あんなに反対してた両親も最後には一人暮らしOKしたんだもん」
柚月「やっぱり奨学金勝ち取ったのが大きいかもね」
優斗「・・・がんばれよ。おれ、おまえの幸せを願ってる」
柚月「私もお兄ちゃんの幸せを願ってる。早く彼氏できるといいね」
優斗「うん」
柚月「まだあの人たちには言ってないんでしょ?」
優斗「うん」
柚月「きっと良い人が見つかるよ」
優斗「それなんだけど」
柚月「なに?」
優斗「じつは今日手伝いに呼んでるんだ」
柚月「えっ?だれ?あのアイドルやってるっていう人?」
優斗「うん、もうくるころだと思うんだけど」
マサ「こんにちは」
柚月「あっこんにちは」
マサ「あっ」
柚月「あっ」
優斗「どうしたの?」
柚月「いや、なんでもない」
マサ「なんでもない」
優斗「二人ともどうしたんだよ」
柚月「元カレ」
マサ「元カノ」
優斗「えっ二人とも付き合ってたの?」
マサ「だから写真見せてくれって頼んだのに、オカズにするなとかいって隠すからこういうことになるんじゃん」
柚月「お兄ちゃん、コイツさいてーだから、さっさと縁切ったほうがいいよ」
優斗「なにがあったんだよ」
柚月「好きな人ができたからきゅうに別れるって言い出したの。私の誕生日の日に別れ話するハゲで最低の男」
優斗「ハゲ?」
マサ「いやゴメンって。悪かったよ」
柚月「あの夜、初めてを捧げてもいいって思ってたのに」
マサ「ゴメン」
柚月「もう信じらんない」
出ていく柚月
優斗「どこ行くんだよ?」
柚月「トイレ!」
優斗「ごめんな」
マサ「いや、こっちこそごめん」
優斗「妹と付き合ってたなんて知らなかったよ」
マサ「いやたったの2週間だから付き合ったうちに入るかどうか・・・」
優斗「それにしてもよりにもよって誕生日はないだろ」
マサ「しかたないだろ、運命的な出会いをしたんだから・・・あの日」
手を重ねるマサ
マサ「おまえと出会ったから」
優斗「えっ好きな人ってまさか」
マサ「言わなくてもわかるだろ」
押し倒す和田
優斗「ちょ、ちょっとマズいよ妹が戻ってきたら」
マサ「いまここには、おれとおまえだけ」
優斗「いや、でも」
マサ「シー、目を閉じて力を抜いて」
優斗「えっ?」
唇を近づけていくマサ
柚月「ちょっと何やってんの?」
マサ「いやキスしようかなって」
優斗「いや、ちがうんだ。目にゴミが入っちゃったから取ってもらおうとしてただけだよ」
柚月「もういいから、二人とも出てってよ」
マサ「いいこと思いついた。ここでおれたち暮らそうぜ」
優斗「ぼく一人暮らし反対されてるし」
マサ「いや、だからさ、3人で暮らせばいいじゃん」
優斗「3人で?」
柚月「もしもーしきいてる?ここ私の部屋なんだけど」
マサ「ご両親も安心すると思うぜ。こんなカワイイ妹一人で暮らすより三人で暮らした方がさ」
(カワイイという言葉にちょっと反応する柚月)
優斗「たしかに、そうかも」
柚月「はあ?何言ってんの?私は反対だから」
マサ「おまえ、おれのことまだ好きなのか?」
柚月「ちょ、なに言ってんの?好きなわけないじゃない」
まんざらでもない様子の柚月
マサ「なんかちょっと嬉しそうじゃん」
柚月「そんなことない、ただきゅうに連絡つかなくなっちゃったから心配してただけ」
かわいく言う柚月
マサ「とりあえず飯でも食いに行くか」
優斗「あっ近くに餃子の美味しいお店があるよ」
柚月「あのー引っ越しの手伝いにきたんでしょ?」
マサ「飯食ったら手伝ってやるって」
二人は歩いて出ていく。お互いのお尻に手をやりながら
柚月「えっちょっと待ってよ。とりあえず私も餃子食べたい」
追いかける柚月
エンディング
柚月のオンリー
「こうして三人は仲良く暮らしましたとさ。めでたしめでたし・・・ってんなわけあるかー」
映像では優斗とマサがイチャイチャしているのをひきはがそうとする柚月が映る
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