『餃子の気分』
『餃子の気分』という作品について
性的同意を餃子に置き換えてわかりやすくしています
性的同意は双方が確認しあうことが大切なので、このお話では男の方が無理強いされるケースを想定しています
相手に強要したり、状況や立場を利用するのはよくないという頭ではわかっていてもなかなか映像としてはわかりづらい部分を餃子を使用することで身近に感じてもらう狙いがあります
餃子を使用していますが、餃子がキスや性行為の隠喩になっています
餃子だとわかりやすくなりますがキスや性行為だと途端にどうしたらいいかわからなくなってしまうというのは性的同意に対する意識が低いせいだと考えられます
滑稽に見えれば見えるほど同意の必要性を強調できるはずです(すべて同意がないせいで滑稽になっているわけです)
セクシーな作品にするよりもわかりやすくコメディにすることで鑑賞しやすい作品にしたいと思います
小さな年齢のうちから性教育の一環として性的同意について学べる(そして話合える)環境を整えることが大事だと思います
だからこそ身近な食べ物である餃子に置き換えて、性的同意についてもっと意識改革ができる人が増えることを願ってこの脚本を書きました
『餃子の気分』
第ニ稿
作・和田昌俊
池田暖(イケダハルト)
ツムギの恋人。押しに弱い性格で、ハッキリとNOを伝えられない。なぜか餃子をたくさん食べさせられることになる運命
橋本紬(ハシモトツムギ)
ハルトの恋人。思い込みが激しい性格で餃子が大好き。好きな人につい餃子を食べさせてしまう
天使(テンシ)
同意の大切さを伝えるために下界に舞い降りた天使。見た目は普通の人間と同じ
※本作において身体的接触が若干あります(手を合わせる、握る)セリフにセクシュアルな表現ありません。肌の露出はありません。暴力的表現はありません。喫煙・飲酒シーンはありません。餃子を食べさせる(食べる)行為があります
【すべて屋内】
【シーン1】
餃子の映像が映る
お皿に1個だけ乗っている餃子
池田暖と橋本紬がベッド(またはソファ)に座っている
ツムギ「ねえ、いま二人っきりだよ」
ハルト「そうだね」
ツムギ「二人っきりってことはさ、やることは一つだよね」
ハルト「なんだろうな」
ハルトは考え込む
ツムギ「口開けて」
ハルト「はい」
ツムギがきゅうに餃子をねじこむ
ビックリした様子のハルト
ツムギ「男と女が二人っきりになったらそれは餃子を食べたいってことだよね」
ハルトは首を振っているがおかまいなしにツムギはほらもっと食えよと餃子を口に入れようとしてくる
もがいているハルトと無理強いしているツムギを背景に天使がフェードインしてくる
カメラ目線の天使がハッキリ言う
天使「二人っきりになったからといって、YESということではありません」
【シーン2】
餃子の映像が映る
お皿に2個だけ乗っている餃子
池田暖と橋本紬がベッド(またはソファ)に座っている
ツムギ「餃子食べる?」
ハルト「どうかなあ」
ツムギ「餃子食べたいんでしょ?」
ハルト「いまそんな気分じゃないっていうか」
ツムギ「そんなこと言って、本当は食べたいんでしょ」
ハルト「うーん」
ツムギ「餃子嫌いなの?」
ハルト「いや、嫌いじゃないけどさ」
ツムギ「嫌いじゃないなら食べたいってことだよね」
ハルト「うーん」
ツムギ「食べたいに決まってるじゃん。ねえ、私といるんだよ」
ツムギは無理やり餃子を口に押し込もうとする
嫌がるハルト
天使がフェードインしてくる
天使「はっきりとNOを言わないからといって、YESとは限らない」
【シーン3】
餃子の映像が映る
お皿に3個だけ乗っている餃子
池田暖と橋本紬がベッド(またはソファ)に座っている
ツムギ「餃子食べる?」
ハルト「いやあ、今はどっちかっていうと春巻きの気分なんだけど」
ツムギ「餃子食べたら今度の映画にキャスティングしてあげてもいいよ」
ハルト「ええ〜」
ツムギ「あのハゲ、私のこと大好きだからさ。私が頼んであげれば出演できるよ?」
ハルト「そうなの?」
ツムギ「仕事でチャンスを掴みたいでしょ?つまり餃子食べたいよね?」
ハルト「う、うん。餃子食べたいです」
ツムギは餃子を食べさせようとする
ハルトは嫌がりながらも餃子を口にする
天使がフェードインしてくる
天使「仕事や立場の差を利用して相手にYESを強要してはいけないよ」
【シーン4】
餃子の映像が映る
お皿に4個だけ乗っている餃子
池田暖と橋本紬がベッド(またはソファ)に座っている
ツムギ「餃子食べる?」
ハルト「いや、食べたい気分じゃないんだけどな」
ツムギ「さっき餃子食べたいって言ったじゃん」
ハルト「さっきは食べたいって言ったけどさ」
ツムギ「一度食べたいって言ったんだからもう断れないよ」
ハルト「えっそんなあ。もう食べたくないんだ」
ツムギ「食べたいって言ったのはあなただからね」
ツムギは無理やり餃子を食べさせようとする
嫌がるハルト
フェードインしてくる天使
天使「一度YESと言ったからと言って、次もYESとは限らないよ」
【シーン5】
餃子の映像が映る
お皿に5個だけ乗っている餃子
池田暖と橋本紬がベッド(またはソファ)に座っている
ツムギ「餃子食べる?」
ハルト「うん、餃子食べる」
ツムギは男に餃子を食べさせる
ハルトは嬉しそうにそれを受け入れる
ツムギ「餃子を食べたんだから、当然タコヤキも食べたいよね?」
ハルト「いや、餃子は食べたいって言ったけど、タコヤキは食べたくないんだ」
ツムギ「餃子食べたいって言ったんだから、タコヤキも食べるのは当然でしょ」
ツムギは無理やりタコヤキを食べさせようとする
熱いと言って唇をヤケドするハルト
フェードインする天使
天使「一つのことにYESと言ったからといって、全部YESじゃありません。YESと言ったことだけがYES」
【シーン6】
餃子の映像が映る
お皿に6個だけ乗っている餃子
池田暖と橋本紬がベッド(またはソファ)に座っている
まるで感動の告白のような雰囲気でツムギがハルトに言う
ツムギ「私、あなたと餃子が食べたい」
ハルトも感動の告白のように言う
ハルト「おれもおまえと餃子が食べたい」
お互いに手を取り合うハルトとツムギ
胸の前で手を合わせて嬉しそうに言う
ハルト「一緒に食べよう」
ツムギ「うん、今日はいっぱい餃子食べようね」
見つめ合うハルトとツムギ
フェードインしながら頷いている天使
今までとは違って満足そうな笑顔で言う
天使「ちゃんと同意を得てから餃子を楽しんでね」
天使のそばにきて立つハルト
ハルト「お互いの気持ちを確認することが大切です」
天使のそばに立つツムギ
ツムギ「あとで後悔しないためにも、ハッキリと気持ちを伝えましょう」
全員「せーのっ餃子を楽しんでね」
笑顔で手を振るハルトとツムギと天使
エンド
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