『きみのいない世界』カット割台本(オリジナル脚本)
- 昌俊 和田
- 2 日前
- 読了時間: 14分
『きみのいない世界』
第三稿
作・和田昌俊登場人物 3 名メインキャスト
井上悠人(いのうえゆうと)
美桜の彼氏。美桜に呼び出されて部屋で話をする。付き合ってしばらく経つがまだ肉
体関係は結んでいない。美桜のことを大切に想っているが口下手でうまく伝えられな
い。美桜にプロポーズする
斉藤美桜(さいとうみお)
悠人の彼女。元カレが遊び人だった。悠人は初めてのタイプだったがいい関係を築
いている。肉体関係にならず、結婚の話もしない悠人に半ば愛想を尽かしている。悠
人に別れ話をする。玲奈とは親友
森下玲奈(もりしたれいな)
かつて悠人と付き合っていた。同棲していた悠人に別れ話を切り出した過去がある。
今は美桜の親友。今でも悠人に未練がある。感情を表に出すのが苦手。過去の痛み
は飲み込んだまま、人を見守る強さを持つ
※本作において身体的接触少しだけあります(腕を掴む。手を握る。抱きしめる)セリフ
にセクシュアルな表現はありません。肌の露出はありません。暴力的表現ありません。
喫煙・飲酒シーンはありません【美桜の部屋 シーン 1】
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[カット総数41]インサート多め。後半は長回し多め。
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重要
机をどかしておくこと。ソファ同士の対面距離近づけておくこと。そうしないと2ショット
で入らなくなる。対面のカメラ位置と座り位置を決めておくこと。ここに時間をかけてお
けば後半は最悪の場合ワンカット長回しでも撮れる
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[カット 1]
固定 ソファに座ってソファの端っこをつまんでいじる玲奈の手元アップカット
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[カット2]
固定 ベッドで体育座りする美桜の手元アップカット 不安そうに足指を触る or 唇をい
じる
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[カット3]
固定 美桜ベッド、玲奈ソファの引きカット全体ショット。玲奈正面、美桜右頬ねらい
静寂が続く部屋
玲奈(小さく)「来るんだ、今日」
美桜(うなずく)「…うん」
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[カット4]
固定 玲奈左頬ねらい美桜正面。難しければ斜めから。
玲奈「(間を置いて) 話すの?」
美桜「うん」
玲奈「言える?」
美桜、言葉に詰まり、うつむく
玲奈(少しだけ間を置いて)「そっか」
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[カット5]
固定 玲奈 ペットボトルをギュッとする手 or ソファをぐっとつかむ手のインサート
沈黙
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[カット6]
固定 美桜正面 玲奈左頬ねらい。
美桜「(間を置いて)……もし、全部話したら、嫌われるかな」
玲奈「たぶん、傷つく。でも、逃げるかどうかはあいつ次第でしょ」美桜の方を向く
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[カット7]
固定 美桜が下唇を噛むインサート
美桜(息を飲んで)
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[カット8]
固定 固定 美桜正面 玲奈左頬ねらい。 画角やや変化つける or カット6同ポジ
可能ならややカメラ上に振っていく
美桜(息を飲んで)「ねえ、玲奈は、別れるとき怖くなかった?」身を乗り出す
玲奈(視線を逸らして)「……めっちゃ怖かった。美桜に比べたら私の当時の悩みなん
てささいなものだけど、いま思えば、ただ怖かっただけだったのかも」カメラ方向に目
線を逸らす。顔がハッキリと映る
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[カット9]
固定 美桜左頬狙い 玲奈後ろ姿 玲奈の首の向きをカット7の最後の位置と合わせ
ること
美桜「(ベッドの端に移動して立ち上がる準備をしてから)話し合うってけっこう勇気が
いるよね」
玲奈「うん。
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[カット10]
固定 玲奈正面 美桜右頬ねらい。やや左にパンしながら
でも、今でも時々思うよ。あのとき、ちゃんと目を見て言えてたら、何か違ってたかなっ
て」美桜の方を向く
美桜「…玲奈…ごめん、こんな時に、こんなこと」
玲奈「忘れないで。怖いって気持ちが、いちばん誰かを遠ざけるってこと」下線の部分で正面(カメラ方向)を向く。このセリフは自分に言っている=鑑賞者に訴えるため
美桜「うん」1.2でピンポーンのつもりで(ドアチャイム音を別撮りで録音しておくこと)
チャイムが鳴る。ふたりが視線を合わせる
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[カット11]
固定 玲奈の左頬斜め 美桜の右頬斜め 上から下へたたく。画面左方向へ美桜が
フェードアウト。可能なら美桜の身体でカメラレンズ覆って暗転する
玲奈「行ってきな。深呼吸、ひとつ」
美桜、ゆっくり立ち上がり、深く息を吸って吐く。ドアの方へ向かう
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[カット12]
固定 玲奈正面
不安そうな玲奈の顔のクローズアップ
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[カット13]
固定 ドアを正面から捉える。難しければ開口部がわかる位置。和田が入ってきて画
面右を向いて玲奈に気づくまで
【美桜の部屋 シーン 2】
悠人、室内に入り、玲奈に気づく
悠人「……あ」
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[カット14]
固定 カメラは和田の右後方より玲奈方面へ向ける。奥行きを演出して。画面左下よ
り和田の後頭部がフェードインしてくる感じ。可能なら玲奈の全身ショットをここで撮る
玲奈(微笑んで)「どうも。ひさしぶり」立ち上がって微笑む
悠人「うん。まさか来てるとは…」
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[カット15]
固定 最終的に和田が座って頭が切れる位置。和田の右頬ねらい。それでいて玲奈
の立ち姿が映る位置だとベスト。難しければとにかく画面左に和田 可能なら和田が
座って首切りになるカメラ位置だとベスト。このカットは和田と玲奈の高低差をつけて
違和感を出すこと。二人の間に過去何かあったと鑑賞者に思わせるために違和感シ
ョットが欲しい。和田の首を切って和田の居心地の悪さを表現すること
和田が画面左よりフェードインしてきてソファに座る右頬ねらい
玲奈「もともと二人で住んでたんだし別にいいでしょ」
少しの沈黙 見つめ合う玲奈と和田
玲奈「(玲奈と和田の間に美桜が割って入ってくる)……席、外そうか?」美桜に向か
って言う。言いながら少し歩くのを制止する美桜
美桜「いてほしい」
玲奈、軽くうなずいて、部屋のベッドに腰を下ろす。その後、美桜はさっきまで玲奈
が座ってたところに座る
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[カット16]
固定 全体の引きショット。部屋の入り口側より高めの位置から
悠人と美桜が部屋で座っている
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[カット17]
固定 インサート美桜のアップカット
美桜は浮かない表情
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[カット18]
固定 インサート 悠人のアップカット少し不安そうな顔
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[カット19]
固定 インサート 玲奈のアップカット――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
[カット20]
固定 三角の構図を意識して。三角関係を表現すること。和田の右頬と美桜の左頬を
ねらい、その間に玲奈の正面。難しければ和田の斜め後ろから狙える範囲で。
悠人はなにか違和感を感じつつも口を開く
悠人「好きだよ」
美桜「ありがと」
悠人「どうしたんだよ」
美桜「別れよ」和田が美桜のソファに移動する。美桜はずれて和田のスペースを作る
悠人「なにがあったんだよ」
美桜「べつに」
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[カット21]
固定 和田と美桜の2ショット ソファを正面から。
悠人「昨日の電話、ちょっと様子がおかしかったけど、なんかあった?」
美桜「知らないほうがいいと思う」
悠人「おれのこと嫌いになった、とか?」
美桜「そう、嫌いになった。これでいい?」
悠人「ウソつくなよ」
茶化すようにふざけて美桜をつつく 脇腹?肩?どこなら OK か女優さんに許可もら
うこと。可能ならほっぺツンツンが可愛い。もしくは鼻先チョンが可愛い。ここで二人が
恋人同士で本来は仲が良いことを演出しないとこの後の展開が感動的にならない。
できることならここでほんのちょっとだけ美桜がいつもの調子でつい笑いそうになると
表情のギャップが生まれて好印象になる
美桜「触らないで」
拒絶する美桜
美桜「もう一緒にいたくないの」
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[カット22]
固定 和田の右肩後ろあたりから美桜の顔向けて。ソファの左から右へカメラ向けて。
美桜と和田のアップで表情を撮ること。指輪はどこからともなく出てくる笑。お尻のポ
ケットに入れていた設定だが、カメラに写らないのでソファのあたりに置いておくとスム
ーズ悠人「なんだよそれ」
美桜「いいからもう別れてよ」
美桜の雰囲気に戸惑いつつも決心した様子で指輪を取り出す悠人(悠人は結婚に
ついて話さないから美桜が怒っているんだと勘違いしている)少し顔をキョロキョロで
表情をカメラにおさめつつ悩んでるお芝居のあと美桜のほうへ向き直ってからパカッ
悠人「おれ、これからのこと真剣に考えてる」指輪を見せる
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[カット23]
固定 玲奈のアップカット インサート
玲奈がはっと驚くような表情になる
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[カット24]
固定 ソファ右より左方向へカメラ向けて。和田と指輪を正面から。美桜が画面右側。
和田が画面左。難しければ斜めからでも OK
プロポーズする悠人
悠人「結婚しよう」真面目に真剣に
美桜「バカじゃないの」嬉しいのを隠しきれない感じ。でも戸惑いが強い
美桜は戸惑いを隠せない。その様子を見て悠人は美桜が照れているんだと思い込
む
悠人「返事は YES ってこと?」のぞき込むように少し茶化して
美桜「タイミング考えてよ」
真剣な表情の美桜
悠人「別れる前に言えたから上出来」サプライズ成功だと思い込んでニコッと笑う。こ
の後のお芝居で悲しい表情をするためここはオーバーに笑顔で
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[カット25]
固定 美桜のアップ。ソロショット。カメラ目線で訴えかける。鑑賞者だったらどう受け
止めるか問いかける衝撃カット。しっかり目をレンズに合わせてハッキリとセリフを撮
る
美桜は決心したように告白する
美桜「エイズ。昨日元カレから連絡きた」
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[カット26]
固定 ソファ正面より美桜と和田のアップ2ショットアップカット。可能な範囲でアップカ
ットにすること。じゃないとこのあとに引いた画角が撮れない。大事なお芝居でもある
ので肩上でしっかりと。二人の頭の位置を合わせておくとうまく画面に合わせられる。
このカットだけ多少嘘ついて二人の位置関係をずらしてもいいのでアップにしておくこ
と
悠人「えっ?」
美桜「検査したけど結果はまだ。でも…たぶん、ダメだと思う。あの人と、ちゃんと別れ
るまでに、時間がかかってたから…」
何も言えずにショックを受けている悠人
美桜「別に無理して私と付き合う義理ないから、別れよ」
美桜は今までとは違って悲しそうに言う
美桜「バカな男と付き合った私のせいで、迷惑かけちゃったね、ごめんね」
悠人(絞り出すように)「……それで、別れようって?」
美桜「うん。あなたに責任なんてないのに、私の不安を背負わせるの、絶対に嫌だか
ら」
美桜、笑いながら泣く
美桜「私が選んだ過去のせいで…あなたの未来を壊したくないの」少しそのまま見つ
め合って二人の間の冷たい空気感を演出。この後のシーンでの暖かい空気感の見つ
め合いとの対比のためにしっかりと撮っておくこと
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[カット27]長回しカット
固定 引きの3ショット。美桜が立ち上がって和田が腕をつかむのでカメラ高さに注意
してしっかりと映るように。部屋の入り口方向からカメラ向ける。この後のカットで美桜
の正面をとらえるので、このカットでは美桜の左頬狙いで斜めからとらえられるとベス
ト。難しければ正面からでも構わない。
悠人はしばらく考えたあと、美桜にもう一度指輪を差し出す
悠人「きっと乗り越えられるよ」
美桜「簡単に言わないで」指輪をバッと払いのける。指輪が邪魔になるので画面から
フェードアウトできるとベストです。ちなみに「きみのとなり」という作品のセルフパロデ
ィシーン。和田の指輪はだれも受け取ってくれないという伝統芸
悠人「本気だ」指輪には目もくれず美桜を見て真剣さをアピール
美桜は悠人の顔を見ると自分の決心が揺らぎそうになるのを感じる美桜「もう信じられない」
立ち去ろうとする美桜
悠人「行くな」
腕をつかんでひきとめる悠人
悠人「愛してる」
美桜「おそいよ」
美桜は自分の過ちについて言っているが、悠人は自分のプロポーズのことだと思い
込む
悠人「わかってる」
美桜「乗り越えられるわけないじゃん」
悠人「それでも一緒にいる」
美桜「意味ないじゃん」
悠人「意味なんてなくていい」
美桜「意味わかんない」
悠人「きみのいない世界に意味なんてない」
美桜「やめてよ」
悠人「俺から離れるな」
美桜「やめてよ」
悠人「どこへも行くな」
美桜「やめてよ」
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[カット28A]
固定 美桜と和田の上半身二人ともカメラ方向を向いている正面からカメラでとらえる
[カット28B]
固定 A の返しカット反対側から上半身。美桜の振り返りの部分を正面から捉える
悠人「愛してる」
美桜「信じたくなっちゃうじゃん」
悠人「愛してる」
美桜「無理」
悠人「愛してる」
美桜「無理」
悠人「愛してる」
美桜「無理」
そう言って振り返ると悠人の腕を引き寄せる美桜
美桜「(少しの間)もう離れてあげない」―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
[カット29]
固定 和田の正面 美桜の後頭部 のアップカット肩上。画面左が和田で右が美桜の
後頭部
抱きつく美桜をそっと抱きしめる悠人
悠人「もう離さない。おれがプロポーズしたのは“安心させたいから”じゃなくて、“一緒
に不安を乗り越えたいから”なんだよ」
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[カット30]
固定 カット29の返し。画面右に和田の左頬 or 後頭部。左に美桜で美桜の表情をと
らえる アップで見つめ合う
美桜が顔を上げて、涙の奥で見つめる
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[カット31]
固定 玲奈のソロショット。足下。床に接触して立ち上がる動作のインサート
玲奈がゆっくりと立ち上がる。
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[カット32]
固定 引きの3ショット。全体。もしくは臍上ショット。玲奈はソファ前に移動すること。
その後の神父カットが楽になる。部屋の入り口側より三人をとらえる。画面右に玲奈。
左に見つめ合う和田と美桜。カメラはソファあたりから三人を狙えるとベストだが難し
ければドア付近から
ふたりを見て、微笑んで
玲奈「ようやく……カッコつけたじゃん。今日のあんたは、違ってた。ちゃんと、大人に
なったね」
涙をこらえながら笑う
玲奈「逃げない勇気って、ほんとはいちばん難しいのにさ」
泣きそうな声の玲奈
玲奈「……羨ましいな」
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[カット33]
固定 悔しくて手をギュッと握りしめる玲奈の手元アップカットのインサート
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[カット34]
固定 美桜と和田の後ろ姿をとらえる太ももあたりから。二人が離れるが手を繋いで
いることがわかるように(可能なら美桜と和田の立ち位置同じで手を繋いでいるアップ
カットのみも撮っておくこと。玲奈の一人の手との対比を強調する[カット34B])
抱き合っていた美桜と悠人が離れる
美桜は悠人と手を繋いだまま玲奈を見る
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[カット35]
固定 3ショット。ベッド側から画面左に玲奈、画面右に美桜、画面右やや中央に和
田を配置すると構図が良くなる。臍上くらい。カメラが設置できなければ反対側からベ
ッド向けにする。その場合は画面右に玲奈、画面左に美桜、画面左やや中央に和田。
それぞれの横顔を映す。とくに玲奈の正面の顔は次のカットで使うため避けること
美桜「ごめん、玲奈……」
玲奈(小さく笑って)「なにそれ、謝るくらいなら絶対幸せになりなよ」
美桜「ありがとう」
玲奈「泣きたい時はちゃんとコイツの腕の中で泣くんだよ。それが“愛される”ってこと
でしょ?」
美桜「うん」
玲奈、微笑んで
玲奈「…元カノ代表としては、以上です」
美桜「これからも親友でいてくれる?」
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[カット36]
固定 玲奈の正面アップカット。肩上くらい。
玲奈は一瞬、言葉を探す。でもすぐに、静かに頷く
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[カット37]
固定 3ショット。画面中央に玲奈。画面右に和田。画面左に美桜。和田と美桜は
向かいあっていて玲奈がカメラ方向を向いてる神父カット。部屋の入り口側から三人
にカメラを向ける。出来れば臍上くらいにしたい。難しければカメラ位置を叩いて下向
けてなんとかおさめること。
玲奈(ゆっくりと、ふたりを見て)「これから先、いっぱい不安なことがあると思うけど。
それでも、ふたりが一緒なら、大丈夫だよ」
玲奈は悠人と美桜に歩み寄り、二人の空いている方の手をつかんで繋ぎ合わせる
まるで新郎新婦をとりもつ神父のような玲奈
美桜、少し涙ぐみながら微笑む
美桜「…なんか今のセリフ、母親っぽくてウケる」
玲奈(ふっと笑って)「結婚式、呼ばなかったら許さないからね。思いっきり泣いてやる
んだから」
3 人、同じ部屋で笑い合う
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[カット38]
固定 和田の正面からの決めショット アップで肩上くらい
悠人、
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[カット39]
固定 美桜の正面からの決めショット アップで肩上くらい
美桜、
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[カット40]
固定 玲奈の正面からの決めショット アップで肩上くらい
玲奈のそれぞれの笑顔のクローズアップ
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[カット41]
固定 アップで箱の中のリングをうつす物撮りカット。長くできれば2分くらい
机の上のリングが光っている(希望の象徴カット)
【HIV 感染者/AIDS 患者の死者数は年間約 65 万人】
【新規感染者は年間約 150 万人】
END
『きみのいない世界』という作品について
「HIV 感染およびエイズ発症」と「結婚相手が性感染症だったら」がテーマです
性感染症は将来のパートナーにまで影響します
結婚相手がもし性感染症だったとしたら、その愛は冷めてしまうのかそれとも二人で
乗り越えられるのか
タイトルの『きみのいない世界』は登場人物の三人それぞれが、お互いが存在しない
世界を想像しているという意味です
自分が本当に大切にしたい人ができた時に後悔しないためにも、リスクについて正し
く知り、危険を回避する力を身につけなければいけません
怖いという気持ちが人を遠ざけます
正しい知識を持ち、必要以上に恐れず後悔の無い生き方をすることが大切だと思い
ます様々な条件や状況で「HIV 感染およびエイズ発症」をしてしまったとしても人生は続い
ていきます
希望を捨てずに生きるには愛の力が必要です
病に立ち向かう愛の力を、病に苦しむすべての人が得られることを願ってこの脚本を
書きました
和田昌俊
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