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執筆者の写真昌俊 和田

彼女の浮気

『彼女の浮気』


第二稿


作・和田昌俊


和田

バツイチ。カツラをつけていることを妻のマイに隠している。マイの浮気に気づいていて、慰謝料を取ろうと浮気相手を全員呼び出す。常にエロい事ばかり考えている


マイ

和田の妻。めちゃめちゃモテる。和田と離婚したい。男からも女からもモテまくる魔性の女。夜のお店で働いている。ストーカー被害にあったため、店を辞めた。いま一番夢中になっているのは俳優のエイト。エイトが困っているので相談に乗りエイトの計画を実行する


エイト

イケメンの俳優。弟のジョーと母親のニーヤと同じ人(マイ)を好きになってしまう。不倫していた人妻の元カノ(エマ)が妊娠してしまい、なんとか元旦那とくっつけようとマイと画策する。川柳でしりとりをするのが得意


ジョー

イケメンの学生。兄のエイトと母親のニーヤと同じ人(マイ)を好きになってしまう。純朴な性格。兄や母親に対して強がる癖がある。ニーヤのことをおふくろと呼ぶ


ニーヤ

美人女優。二人の息子と同じ人(マイ)を好きになってしまう。夫は早くに他界したが、多額の生命保険金が入ったためお金にはさほど苦労しなかった。そのため少しおっとりしている。打ち上げで訪れた夜のお店でマイに出会い心惹かれる。自分のセクシュアリティに悩みつつもマイの魅力に逆らえない


ハヤト

ゲイバーのママ。8:2くらいの割合で男が好き。口調はオネエ。たまたま飲みに訪れたマイと出会い心惹かれる。短髪の男が好み。ヨネのことを好きになる


チカ

売れっ子モデル。レズビアン。クラブイベントで出会ったマイを好きになり、夢中になる。モテるため自信満々で口調が少しえらそう。短髪の男が嫌い。髪の毛の長い女性が好み


アヤカ

美容師。店長。レズビアン。マイのヘアカットを担当している。来店したマイと共通の趣味(音楽)で盛り上がって付き合う。髪の毛の短い女性が好き


ヨネ

中小企業に勤める真面目なサラリーマンだったが、アプリで知り合ったマイとワンナイトラブを経験し夢中になる。マイとの浮気がバレて奥さんと離婚、そのショックから仕事が手につかずに会社をクビになった。マイに愛想を尽かされてからはストーカーになる。マイと結婚式を挙げるため、マイナスドライバーを手にして乗り込んでくる


ノン

会社事務員の真面目な女性。幼い頃から優等生で周囲の期待にこたえていたため、自分の欲求を抑え込んでいた。好奇心でマイの勤めるお店に行きハマってしまう。マイのために借金をしてまでお店に通うがマイからは冷たくされてしまい、ストーカーになる。潔癖症でマイに触った人間をガソリンで燃やそうとする


エマ

市民会館で働く公務員。和田の元妻。和田と愛のない結婚をしていた。偶然観劇した舞台でエイトと知り合い、不倫関係になった。和田と別れた後に妊娠が発覚する。エイトとは身体だけの関係だが愛している。そのためエイトの計画を実行する



※本作において身体的接触少しだけあります(抱き合うなど)セリフにセクシュアルな表現が若干あります。肌の露出はありません。暴力的表現少しだけあります(蹴り)。喫煙・飲酒シーンはありません。


ワンシーンのみワンカット長回し


【昼間 会議室 市民会館】


 ふてくされているマイ

 怒っている和田

和田「ほんとにもうしないんだな?」

マイ「しないって」

和田「信用できないな」

マイ「マジで全員と会うとか頭おかしいんじゃないの?」

和田「慰謝料の請求するから。ちゃんと会っておかないと」

マイ「ああ早くコーラ飲みたい」

 ガチャ

 入ってくるエイト

エイト「えっ」

和田「こいつか?」

エイト「えっ?えっ?」

 戸惑うエイト

和田「いいから」

 無理やりエイトを引っ張ってくる和田

和田「この男か?」

 うなずくマイ

和田「いつからだ?」

マイ「去年」

エイト「あっあの」

 エイトに薬指のリングを見せる和田

和田「妻がお世話になってます」

 立てた薬指だけ残して他の指を握りしめる和田

和田「夫のワダマサトシです」

エイト「すいませんでした。あの、旦那さんは大きなサメに食べられて死んだって聞いてたので」

和田「生きてます」

エイト「ですよね」

 マイを見つめる和田とエイト

マイ「どうだっていいじゃん」

 ガチャ

 入ってくるジョー

ジョー「えっ?」

エイト「えっ?」

ジョー「なんでアニキがここにいるの?」

エイト「おまえこそどうしてここにいるんだよ?」

ジョー「いや、彼女に大事な用があるって呼び出されたんだけど、ていうか誰ですかあなた」

和田「妻がお世話になってます。夫のワダマサトシです」

ジョー「えっ?夫?たしかエベレストに無酸素で登ろうとして遭難して死んだってきいてますけど?」

和田「生きてます」

 マイを見つめる和田とエイトとジョー

マイ「どうだっていいじゃん」

 ガチャ

ニーヤ「えっ?」

エイト「えっ?」

ジョー「えっ?」

ニーヤ「なんであんたたちがここにいるの?」

エイト「母ちゃんこそなんでいんの?」

ジョー「おふくろも呼び出されたの?」

ニーヤ「えっ?えっ?どういうこと?」

和田「おまえ・・・」

マイ「いいでしょ、べつに女同士だって」

ニーヤ「あっあの」

和田「妻がお世話になってます。夫のワダマサトシです」

ニーヤ「えっ?夫?たしか彗星の衝突を食い止めるために宇宙に行って亡くなったって聞いてましたけど」

和田「生きてます」

 マイを見つめる和田とエイトとジョーとニーヤ

マイ「どうだっていいでしょ、誰にだって隠し事くらいあるんだから」

 そう言って和田の頭を見つめるマイ

和田「おれはなにも隠し事なんかないぞ」

 全員の視線が頭に集中する

和田「なに見てんだよ」

 和田がエイトのほうに向かって言い放った隙にカツラを取るマイ

 無言で見つめられる和田は少しキレ気味でカメラに言う

和田「なに見てんだよ」

 突然入ってくるハヤト

ハヤト「えっ?」

和田「おまえいったい何人と浮気してんだよ」

マイ「別にいいじゃん。アタシの勝手でしょ」

ハヤト「あの、えっと」

エイト「ぼくらも呼び出されたんです」

ジョー「あなたもマイさんに騙されてたんですか?」

ニーヤ「アタシたち親子で騙されてたんです」

ハヤト「マイちゃん、ちょっとどういうことなのこれ?旦那さん溶鉱炉に落ちて死んだんじゃなかったの?」

和田「生きてます。あの、慰謝料請求するんで」

ハヤト「あら、よく見たらイイ男じゃない。アタシ、スキンヘッドの男好きよ」

 馴れ馴れしく頭を撫でようとしてくるハヤト

和田「ちょ、やめろ!おい、返せよ」

 カツラを投げて遊びだすジョーとエイトとニーヤ

 ガチャ

チカ「おっす、おつかれ」

 全員の目線が入ってきたチカに注がれる

チカ「なに?えっ?どういうこと?」

和田「おまえ」

マイ「アンタよりテクニック上手いんだもん」

チカ「だれ?こいつら」

エイト「彼氏です」

ジョー「彼氏です」

ニーヤ「彼女です」

ハヤト「恋人よ」

和田「夫のワダマサトシです」

チカ「は?夫?旦那は船で大西洋を横断中に豪華客船が沈んで凍死したんじゃなかった?」

 和田が言おうとするのを遮って

エイト&ジョー&ニーヤ&ハヤト「生きてる」

和田「とりあえず慰謝料請求するから住所と名前を教えてもらおうかな」

チカ「は?何言ってんの?そっちが払えよ」

和田「いやいやおかしいだろ」

チカ「マイがおまえのせいでどんだけ悲しんだと思ってんだよ」

和田「人の奥さんを気安く下の名前で呼ぶな」

チカ「結婚する前からウソついてたんだってな」

和田「なんのことだよ?」

 全員の目線が和田の頭に集中する

チカ「死んだって思ってたのにノコノコ現れやがってこっちが迷惑かかってんだよ」

エイト「そうだそうだ」

ジョー「ぼくの純情を返せ」

ニーヤ「この子たちの心の傷はどうなるの?」

ハヤト「ねえ、アタシの心の傷は?」

チカ「和田が一番の悪だと思う人は?」

エイト&ジョー&ニーヤ&ハヤト「はい」

チカ「多数決でオマエが悪いんだから慰謝料払え」

エイト&ジョー&ニーヤ&ハヤト「払え払え」

和田「なんで浮気されたおれが払うんだよ、いいからカツラ返せよ」

 カツラをキャッチボールして遊びだすチカとエイトとジョーとニーヤとハヤト

 ガチャ

アヤカ「えっ?」

ニーヤ「彼女さんですか?」

エイト「旦那生きてましたよ」

ジョー「ぼくら騙されてたんです」

ハヤト「みんなで慰謝料請求するの」

チカ「こいつウソつきの変態なんですよ」

和田「ウソはついてない」

ニーヤ&チカ「変態なのは否定しなかった」

 ドン引きしているエイト&ジョー&ハヤト&チカ&ニーヤ&マイ

和田「ていうか勝手に話進めるなよ」

アヤカ「あの、マイの旦那さんですか?たしか急行列車に乗ってたら寝てる間に刺されて死んだって・・・」

エイト&ジョー&ニーヤ&ハヤト&チカ「生きてる」

アヤカ「どういうこと?マイ」

マイ「ごめんねアヤカ。アタシずっと旦那にウソつかれてたの」

 泣きだすマイ

アヤカ「ちょっと、なんでウソついてたんですか?マイが傷ついてるじゃないですか?!」

和田「いや、おれは何もウソなんかついてない」

 全員の視線が和田の頭に集中する

マイ「うわーん」

アヤカ「大丈夫だよマイ。アタシがついてるからね」

ニーヤ「ウソつき」

チカ「ウソつき」

ハヤト「ウソつき」

エイト「ウソつき」

ジョー「ウソつき」

マイ「どう責任とるつもり?!」

 困惑する和田

エイト「アンタのせいで、おれは母ちゃんと同じ人を好きになってしまった」

ジョー「親子で同じ人を好きになってしまうなんて」

ニーヤ「あなたたち、母さんのことは心配しないで」

エイト「母ちゃん」

ジョー「おふくろ」

ニーヤ「母さんはいつだってあなたたちの幸せを願ってる」

エイト「おれこんなに人を好きになったのは初めてなんだ」

ジョー「ぼくも生まれて初めてこんなに人を好きになったんだ」

ニーヤ「正々堂々と戦って愛を勝ち取るのよ。母さんは応援してる」

エイト「母ちゃん」

ジョー「おふくろ」

ニーヤ「ウソをついてはだめよ。自分の気持ちに正直になりなさい」

エイト「でもおれの好きな人は人妻なんだ」

ニーヤ「大丈夫よ、離婚するらしいから」

ジョー「すごくモテる人なんだ、ぼくと付き合ってくれるかな?」

ニーヤ「大丈夫よ、あなたのほうが魅力的だから」

エイト「母ちゃん」

ジョー「おふくろ」

 感動して小さく拍手しているハヤト

 アヤカの髪の毛を撫でるチカ

チカ「今日このあと予定ある?」

アヤカ「いえ、今日はべつに」

和田「おまえらいい加減にしろよ!」

 ガチャ

 ヨネが入ってきてあたりを見回す

 少し様子がおかしい

 マイのほうを見る和田

マイ「なんでアンタが来るの?」

ヨネ「なんでおれを呼ばないんだよ」

マイ「だってとっくに別れてるじゃん」

ヨネ「別れてねえよ、だれだコイツら?」

エイト「彼氏」

ジョー「彼氏」

ニーヤ「彼女」

ハヤト「恋人」

チカ「彼女」

アヤカ「彼女」

和田「夫のワダマサトシです」

ヨネ「は?夫?ボクシングの試合で死んだって言ってたじゃん」

エイト&ジョー&ニーヤ&ハヤト&チカ&アヤカ「生きてる」

マイ「ねえ、たった一回ワンナイトラブしただけじゃん。いい加減ストーカーすんのやめてくんない?」

ヨネ「ストーカー?おれのことストーカーだって?あんなに愛してるって言ったくせに」

マイ「酔っ払ってて覚えてないし」

ヨネ「おれはな、おまえとの浮気がバレて離婚して会社もクビになってんだよ、責任取れよ」

マイ「知らねーし」

ヨネ「はあ?ふざけんなよ、おれがどれだけ迷惑かかったと思ってんだよ」

エイト「まあまあ落ち着いて」

ジョー「ぼくらみんな同じ境遇ですよ」

ヨネ「触んな」

 懐からマイナスドライバーを出すヨネ

ヨネ「バカにすんなよ、おい離れてろ」

ニーヤ「やめましょうよケガしますよ」

チカ「おい、無理すんなおっさん」

ヨネ「おれは本気だぞ、マイのことを愛してるんだ」

 マイナスドライバーをふり回すヨネ

ヨネ「おまえら彼氏だとか彼女だとかふざけたこと抜かしやがって嘘つき」

エイト「嘘じゃないですよ」

ジョー「ぼくら全員マイさんとお付き合いしてるんです」

ニーヤ「騙されてたんですよ」

ハヤト「あなたも被害者なのよ」

チカ「旦那が慰謝料欲しいから全員呼び出しただけ」

アヤカ「嘘つかれてたんですよ」

ヨネ「そうなの?じゃあ一番悪いのはだれなんだよ?」

 全員が和田を見る

ヨネ「おまえか、ウソをついてたのは」

 うろたえている和田

和田「いや、ウソなんかついてない」

 全員の視線が和田の頭に集中する

ヨネ「まず最初におまえを殺して、それからおまえら全員殺してやる。それからマイ、一緒に結婚式挙げようね」

マイ「キモ」

ニーヤ「ダメ、息子は殺さないで」

エイト「母ちゃんを刺すならおれを刺せ」

ジョー「アニキを刺すならおれを刺せ」

ハヤト「ダメよ、まずはアタシから」

チカ「イヤ、アタシからだ」

アヤカ「いえ、アタシを先に」

和田「いやいやおれが」

 エイト&ジョー&ニーヤ&ハヤト&チカ&アヤカ&マイ「どーぞどーぞ」

和田「えっ?」

 戸惑う和田

ヨネ「覚悟はいいか?」

和田「いや、やめましょう刑務所行くことになりますよ」

ヨネ「そのまえにおまえはあの世に行くことになるな」

和田「いや、あのほんとに殺さないでほしいです、マイ!おいマイ?!」

マイ「ヨネやっちゃって。みんなも慰謝料請求されなくて済むし」

 全員がコールする

エイト&ジョー&ニーヤ&ハヤト&チカ&アヤカ&マイ「ヨーネ、ヨーネ、ヨーネ」

和田「いや、おれが殺されたらそのあとみんなも殺されるんだからな?いいのかそれで?」

 全員悩む

 少し迷いだすヨネ

ヨネ「だったらおまえらを殺さなくていい理由を言ってみろ」

エイト「川柳でしりとりできます」

ヨネ「川柳でしりとり?よくわかんないけど、[好き]ってお題でやってみろ」

エイト「好きだから 一緒におふろに 入ろうよ」

 ヨネは無言で和田にドライバーを向ける

和田「えっ?おれ?えーっとえーっと よろしくね こういうお店 初めてで」

 ヨネはジョーにドライバーを向ける

ジョー「でっかいな なんでこんなに でっかいの?」

 ヨネは和田にドライバーを向ける

和田「えっ?またおれ?えーっとえーっと 飲んでみる? 追加料金 払うから」

 ヨネはハヤトにドライバーを向ける

ハヤト「ラブドール 使った後は 粗大ゴミ」

 ヨネは和田にドライバーを向ける

和田「えっなんでおればっか。えーっとみ、み、み、見えないね 見えぬはずだよ いれてるよ」

 ヨネはエイトにドライバーを向ける

エイト「よかったら 今夜は一緒に 寝ませんか?」

 ヨネは和田にドライバーを向ける

和田「かたくして やわらかいから はいらない」

 ヨネはジョーにドライバーを向ける

ジョー「いつもより キレイだから そばにいたい」

 ヨネは和田にドライバーを向ける

和田「痛いから 間違ってるよ そこちがう」

 ヨネはハヤトにドライバーを向ける

ハヤト「うちにくる? 恥ずかしそうに そっと言う」

 ヨネは和田にドライバーを向ける

和田「えっ、またう?う、う、う、うんちつく? かまわないよ キミのなら」

ヨネ「おまえ全部下ネタじゃねえか!やっぱりおまえからだな」

 ヨネがドライバーを振り下ろそうとした時にドアがあく

ノン「・・・」

ヨネ「だれ?」

マイ「ノン?」

ノン「マイ、なんで無視するの?」

 全員がまたか、という風にマイを見る

マイ「違う違う、ただのお客さんだってば、接客してただけ」

ノン「アタシがマイのためにどれだけお金使ったと思ってるの?借金までしてシャンパン入れたんだよ」

マイ「ごめん、でもアタシ結婚してるからさ」

ノン「えっ?結婚?旦那は死んだって言ってたじゃん」

マイ「生きてるよ、もうストーカーするのやめてくんない?」

ノン「だってお店行っても辞めちゃったって言われたし、旦那ってだれ?」

 全員の目線が和田に集中する

和田「あの、とりあえず慰謝料請求するんで住所と名前を教えてもらえます?」

ノン「あなたたちは?」

エイト「彼氏」

ジョー「彼氏」

ニーヤ「彼女」

ハヤト「恋人」

チカ「彼女」

アヤカ「彼女」

ヨネ「彼氏」

 マイが訂正する

マイ「ワンナイト」

 ゆっくりうなずき出すノン

ノン「ふーん、そっかこんなにいるんだ。私のマイに触った人間が」

 ノンがカバンからペットボトルを取り出す

ノン「汚物は消毒しないとね」

ヨネ「あの、とりあえず邪魔なんであっち行っててもらえます?」

ノン「触んな!燃やすぞ!」

 ノンがペットボトルを突き出す

ノン「このガソリンでみんな燃やしてやる」

ヨネ「ガソリン?どうみてもジュースだけど」

ノン「試してみる?」

 首を振るヨネ

ノン「マイ、待っててね。すぐに終わらせるから、そしたら二人で結婚式挙げようね」

マイ「キモ」

ノン「あなたたちを生かしておく理由があるなら言って」

エイト「川柳でしりとりができる」

ノン「川柳でしりとり?」

ヨネ「やめとけ、コイツらに関わるとロクなことにならない」

ハヤト「さっきまでこの人、アンタと同じように全員殺す気だったのよ」

ノン「え?」

ヨネ「気がついたんだ、こんなことしても何の意味もないって」

ハヤト「人は追い詰められればバカなことをしちゃうものなの」

アヤカ「つらいことがあったなら話をきくから」

チカ「一人で悩まなくていいんだよ」

ニーヤ「追い詰められた時に人は本性が出る」

ジョー「命がかかってるときに下ネタばかり言う奴もいる」

エイト「そんな奴のために全員殺す必要ない」

マイ「一番悪いのはただ一人」

エイト&ジョー&ニーヤ&ハヤト&チカ&アヤカ&ヨネ&マイ「せーの、和田」

和田「えっ?」

マイ「コイツがアタシに嘘ついてたのがいけないの、だから燃やすなら和田を燃やして、ノン」

エイト&ジョー&ニーヤ&ハヤト&チカ&アヤカ&ヨネ&マイ「せーの、ノーン、ノーン、ノーン」

ノン「コイツがいけないのね」

和田「いや、ちょっと待って助けて」

 ノンがペットボトルのキャップを開けようとしたとき

 ガチャ

エマ「お待たせしました、コーラです」

和田「エマ?」

エマ「あなた?なんでここにいるの?」

 だれ?とざわつく周囲を制するように

マイ「旦那の前の奥さん」

エマ「コーラここに置いておきますね」

 エマが出て行こうとするのを止めるノン

ノン「下がって、あなたの元旦那燃やすから、邪魔したらあなたも一緒に燃やす」

 突然フランス語で喋り出すエマ

エマ「Quelqu'un a pété」

 屁をこくエイト

ノン「おい、だれだ屁こいたやつ?!」

 よそ見した隙にノンに蹴りを入れてペットボトルを奪うエマ

エマ「この人は燃やさせない。アタシが守るから」

 振り返るエマは和田と見つめ合う

 ノンに駆け寄るチカとアヤカ

チカ「大丈夫?痛かった?」

アヤカ「あっちで休みましょう」

 ヨネからマイナスドライバーをそっと掴むハヤト

ハヤト「もういいでしょ、こんなもの」

ヨネ「おれ・・・」

ハヤト「さっきのアナタカッコよかった。忘れないで、アナタは一人じゃない」

 見つめ合うヨネとハヤト

ハヤト「アナタがマイナスドライバーならアタシはプラスドライバー。二人合わせれば差し引きチャラよ」

 手を繋いで部屋の奥へと行くヨネとハヤト

エマ「うっ」

和田「おい、どうしたんだよ?」

 突然気持ち悪そうにするエマはとっさに自分のお腹に手を当てる

エマ「きゅうに激しい運動しちゃったから」

和田「もしかしてお前」

エマ「そう、妊娠してるの」

 驚く和田

和田「おれの?」

 うなずくエマ

和田「なんで言わないんだよ」

エマ「気づいた時には離婚しちゃってたし」

 和田はマイのほうを振り返る

和田「もしかして、エマがここで働いてるの知ってて今日ここ予約したのか?」

 少し照れるマイ

マイ「そう、ヨリ戻せばいいじゃん、アタシより必要としてる人がいるんだから」

和田「でも」

マイ「アタシはもう、アンタのこと愛してないんだってば。こんだけ浮気しててもまだわかんない?」

和田「そういうことだったのか。慰謝料はいらないよ。素敵なサプライズのお礼だと思ってくれ」

 フンと鼻で笑うマイ

 エマを見つめる和田

和田「お腹の子、もう名前は決めたのか?」

エマ「まだ。一緒に考えてくれる?」

和田「もちろんだ」

 そっと抱き合う和田とエマ

 和田とエマから目を離し、エイトとアイコンタクトするマイ

 意味深な笑みを浮かべるエイトはエマの方を向く

 和田の背中越しにエイトのほうを見つめながら不敵な笑みを浮かべるエマ

 カメラ目線でそれまでとは打って変わって小悪魔な笑みを浮かべてウィンクするエマ



【4%の割合で父親が夫ではないという研究結果がある】



END


最後一人ずつ文字入りの紙コップをピラミッド状に積み上げていきながらエンドクレジット


    ぎょうちゃん

     ⭐︎

    劇 団

  ぎょ う 座

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